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家庭学習の質は、どこで決まるのか──二人の小学生の国語ノートから考える、家庭の役割──
〖家庭学習設計シリーズ・特別編〗
はじめに
「宿題は終わった?」
「終わったよ。」
家庭学習について、このようなやり取りをするご家庭は多いと思います。
課題に取り組み、提出期限に間に合わせることは大切です。しかし、ページが埋まったことと、必要な学習が終わったことは同じではありません。
問題を読み、考え、答えを書く。丸付けを受け、間違いを確かめ、必要な直しをする。分からない問題は、どこまで考えたかを残して質問する。
その一つひとつが、次の学習につながります。
今回は、Educatioに通う二人の小学生の国語ノートを通して、家庭で学習の中身に目を向けることの意味と、将来の自律につながる関わり方について考えます。
二人のノートに見る、家庭の関わり
Educatioでは、小学生の国語に、全学年で共通の教材を使用しています。
ご紹介するのは、その教材に取り組んだ二人のノートです。いずれも、保護者の方にご了承いただいたうえで掲載しています。
解答を確かめ、学習の質を伝える
【国語ノートの見本A】

▶クリックするとノートをご覧いただけます
こちらは、小学3年生のノートです。数学では、中学1年の範囲のおよそ3分の2を終えています。
今回、見ていただきたいのは、子どもの答えだけではありません。ノートに書き込まれた、お母様の赤字です。
お母様は、子どもが実際に書いた答えを確認し、漢字の使い方や表現について伝えています。選択肢に漢字で書かれている言葉は、漢字で答えるよう促す書き込みもあります。
課題を行ったかどうかだけで終わらせず、何を読み、どのように答えたのかまで目を向ける。
その書き込みからは、学習のために時間を確保し、子どもの取り組みの質を大切にされていることがうかがえます。
そばで見守り、確認を重ねる
【国語ノートの見本B】

▶クリックするとノートをご覧いただけます
こちらも、小学3年生のノートです。この生徒は小学2年生の2月に転塾し、現在、算数では小学5年生の範囲のおよそ半分を終えています。日々の課題にも、非常に丁寧に取り組んでいます。
ご家庭では、保護者の方が子どもの学習中、そばについて見守り、丸付けや直しを確認されています。
基本的に学習内容を教えるのではなく、本人が自分で読み、考える時間を大切にしながら、取り組みを支えています。
保護者の方には、以前、Educatioを選ばれた理由や、家庭での関わりについてもお話しいただきました。子どものそばにいながらも、以前より見守る時間が増えたことが綴られています。
▶ 保護者様の声──焦らず、深く、一歩一歩。「考えること」を大切に
二人の学習の進度は、それぞれの成長の一面です。今回お伝えしたいのは、進度を比べることではなく、その学びを支えている日々の取り組みです。
二つのご家庭に共通しているのは、子どもに任せきりにせず、実際の学習に目を向けていることです。答えを代わりに出すのではなく、本人が取り組む時間を確保し、その内容を確認する。そうした関わりが、家庭学習の土台になります。
「終わった」と、学習が仕上がったは違う
同じ教材であっても、家庭での取り組み方や、ノートの仕上がり方は一人ひとり異なります。
答えは書いてあるけれど、本人にも読み取りにくい。
問題に漢字が示されているのに、確かめずに平仮名で済ませている。
課題の範囲は埋まっていても、丸付けや間違い直しが行われていない。
このような状態では、「提出する」という作業は終わっても、間違いから学び、次に自分でできるようになるための確認が残っています。
家庭で確認したいのは、正解か不正解かだけではありません。指定された範囲に取り組んだか。本人と講師が読める記録が残っているか。丸付けを受け、必要な直しを行ったか。
必要なのは、字の美しさを競うことではありません。本人が自分の答えを読み返し、考えたことや間違いをたどれる状態にすることです。
国語は、すべての学習を支える
算数や数学は、どこまで進んだかが見えやすい教科です。先の単元へ進んでいることや、難しい問題が解けることは、成長を実感しやすいものでもあります。
一方、国語の学習で積み重ねている力は、進度だけでは見えにくいかもしれません。
問題文を正確に読む。何を問われているのかを捉える。条件や理由を整理し、考えたことを言葉にする。
こうした力は、国語の問題だけで使うものではありません。算数・数学の文章題、理科や社会の説明、英語の文章を理解するときにも必要になります。
Educatioの「国語設計シリーズ」では、主語と述語、言葉の関係、因果関係、文章の構造などを捉えることを、思考を支える学習として整理しています。
算数や数学の学習を進めながら、国語の一つひとつの取り組みにも目を向ける。教科ごとの成長を大切にしながら、学習全体を支える土台も整えていきたいと考えています。
読解演習だけでなく、言葉の基礎を大切にする
読解力を育てると聞くと、難しい文章題をたくさん解くことを思い浮かべるかもしれません。
しかし、文章を読み、考えを表すためには、言葉そのものに丁寧に向き合うことも欠かせません。
文章を見ながら正確に書く書写。意味や形を確かめながら取り組む漢字練習。言葉のまとまりや、文の流れを意識する音読。
こうした基礎的な学習を、ただ回数をこなす作業にせず、一つひとつ確かめながら積み重ねることを大切にしています。
例えば、書写では、言葉を飛ばさずに書けているか。漢字練習では、形や使い方を確かめているか。音読では、文章を目で追い、言葉を確かめながら読んでいるか。
家庭で専門的な読解指導を行う必要はありません。子どもが取り組む時間を確保し、何をどのように行ったのかを確認することが、学習を支えます。
学習を、子どもの「仕事」として位置づける
子どもにとって、学ぶことは、毎日を形づくる大切な仕事の一つです。
仕事といっても、大人と同じ成果や速さを求めるという意味ではありません。今の自分に必要なことに向き合い、決められたことを進め、分からなければ確かめ、最後まで仕上げる。その経験を積むことです。
大人自身の仕事であれば、内容を確認せず、とにかく期限までに形だけ整えて提出することは、通常、望ましいとは言えません。
子どもの学習も同じです。ページが埋まったかどうかだけではなく、何に取り組み、どこで止まり、どのように直したのかを大切にしたいと思います。
家庭で学習が「早く終わらせるもの」としてだけ扱われれば、子どもも、学ぶことより終わらせることを優先しやすくなります。
大人が学習の時間を確保し、取り組み方や仕上がりを確認することは、家庭が学習を大切にしていることを子どもに伝える一つの方法になります。
忙しいからこそ、学習を予定に置く
保護者の皆様には、仕事や家事など、それぞれの予定があります。子どもにも、学校や習い事、日々の生活の中で、本人なりの忙しさがあります。
だからこそ、空いた時間に何となく課題を入れるのではなく、次の通塾までに、いつ、何に取り組むのかを予定へ置くことが大切です。
問題を解く時間だけではありません。丸付け、間違い直し、分からない問題の確認、提出の準備までを含めて考えます。
予定どおりに進まなければ、何が難しかったかを確かめ、必要に応じて塾へ相談してください。課題量や取り組み方、生活時間を見ながら、進め方を一緒に考えます。
小学生の家庭学習で、保護者にお願いしたいこと
Educatioでは、小学生の保護者の皆様に、学習内容を代わりに教えることを基本的には求めていません。
一方で、特に学習習慣が整うまでは、本人に任せきりにせず、家庭での実施と確認を支えていただきたいと考えています。学年やお子様の様子に応じて、そばについて取り組みを見守ることも大切です。
具体的には、次のことです。
- PDCAノートで、課題の範囲と期限を親子で確認する。
- 生活の予定を踏まえ、取り組む時間を確保する。
- 本人が自分で読み、考える時間を守る。
- 原則として保護者が丸付けを行い、間違い直しは本人が行う。
- 提出前に、実際のノートを見て、範囲・読める記録・丸付け・直しを確認する。
間違えた問題は、問題文や例題、解説をその都度確かめ、答えを見ずに取り組みます。3回取り組んでも自力で解けない場合は、考えた過程と分からない箇所を残し、先生に質問します。
未実施の問題と、取り組んだうえで解決できなかった問題は分けて伝えてください。
保護者が常に解き方を説明する必要はありません。「何を求める問題?」「どこまでは分かった?」と、本人が考え直すための声を掛け、再び本人へ戻します。
また、必要な過程が読めるノートを、見た目だけのためにすべて書き直す必要もありません。
家庭の確認を、子ども自身の基準へ
今回ご紹介した二つのご家庭では、保護者の方が子どもの学習に目を向け、解答や直しを確かめています。
その中で、例えば漢字の使い方や、書いた答えの分かりやすさに目を向けることもできます。本人が問題文や教材を見直し、必要なところを自分で直す。Educatioでは、その過程まで含めて大切にしています。
最初は大人と一緒に確かめていたことも、繰り返す中で、本人が自分で気付けるようになることを目指します。
「書いた答えは読めるか」
「問題に書かれている言葉を正確に使っているか」
「間違えたところは、そのままになっていないか」
小学生のうちに家庭が関わるのは、いつまでも保護者が管理するためではありません。将来、本人が一人で学ぶときにも、自分の学習を確かめ、整えられるようになるためです。
最初は親子で課題と予定を確認し、できるようになったことから本人が先に行う。保護者は、その結果を確かめる側へ少しずつ移ります。丸付けを本人へ移す時期も、学習習慣の定着を見ながら塾と確認します。
中学生・高校生では、本人が主体になる
家庭での関わり方は、成長とともに変わります。
中学生・高校生については、家庭に日々の課題や学習時間を直接管理していただくことは求めていません。本人と講師のやり取りを中心に、学習の計画と改善を進めます。
本人が、自分の学習を実行し、結果を受け止めて、必要な行動を考える。塾は、答案や説明、確認テストなどから理解と定着を確かめます。
家庭には、学習できる生活環境や睡眠・健康を支えていただきます。また、約束を守ることや誠実な行動については、それぞれのご家庭の価値観に沿って伝えていただきたいと考えています。
入塾時にお渡しする資料について
Educatioでは、入塾後の学習を進めるために、授業の流れや家庭学習の進め方をまとめた資料をお渡ししています。
今回の記事と併せて、家庭と塾、それぞれの役割を確認するための資料をご紹介します。
- 授業の流れ
- 小学生の家庭学習導入ガイド
- 小学生の授業の流れ・宿題の進め方・規則・持ち物
- 中学生と高校生の学習ガイド
小学生と中高生では、本人・家庭・塾の役割が異なります。お子様の段階に合う資料をご覧ください。
おわりに
家庭学習の質は、教材を開いている時間だけで決まるものではありません。
どのように読み、考え、書いたか。間違いを確かめ、次にどう直したか。そして、その取り組みを家庭と塾がどのように支えるか。
今回ご紹介した二人の学習には、子どもの取り組みに目を向け、その中身を確かめるご家庭の関わりがあります。
小学生の今、家庭で一つひとつの基準を共有することが、やがて本人が自分の学習に向き合うための支えになります。
ノートを開いたとき、ページが埋まっているかだけでなく、「本人が何を学び、何が残っているか」も、ぜひ一緒に確かめてみてください。
One Thought
家庭で一緒に確かめていた基準が、
やがて、子どもが自分で学びを整えるための基準になる。